先に、いちばん大事なことを書きます。
子どもをMBTIで分類しないでください。
理由は3つあります。
- MBTIは成人向けに作られており、子どもへの適用は想定されていない
- 子どものタイプは環境と発達段階で大きく動く。 大人でも数か月で1文字変わることがあるのに、成長期はなおさらです
- 一度貼ったラベルは子ども自身に内面化される。 「あなたはIだから」と言われ続けた子は、外に出る選択肢を自分から消します
では子育てでMBTIは無意味かというと、そうではありません。使う対象を子どもではなく親自身にすると、非常に有効です。
自分のタイプが分からない場合は40問の診断へ。
使い方の転換:「この子は何型か」ではなく「私は何を当たり前だと思っているか」
親は、自分の感じ方を基準に子どもを見ます。これは避けられません。問題は、その基準が万人共通だと思い込んでいるときです。
- E型の親は、家で本を読んでいる子を見て「もっと友達と遊べばいいのに」と思う
- I型の親は、毎日友達を連れてくる子を見て「落ち着きがない」と思う
- J型の親は、宿題を後回しにする子を見て「だらしない」と思う
- P型の親は、時間割どおりにしか動けない子を見て「融通が利かない」と思う
どれも、親の軸を子どもに当てているだけです。 MBTIを使う価値は、この「当てている」ことに気づける点にあります。
軸別・親が押しつけがちなこと
E / I :社交性を能力と混同しない
E型の親は、内向的な子を「問題」として扱いがちです。 「もっと積極的に」「友達を作りなさい」。しかし内向は矯正すべき欠点ではありません。
内向的な子に必要なのは、社交性の訓練ではなく回復の時間の確保です。学校で6時間人といた子は、帰宅後に一人の時間が要ります。ここで習い事を詰めると消耗します。
I型の親は逆に、外向的な子の必要量を過小評価します。 その子にとって人と会うのは回復であって、疲れる作業ではありません。
点検の質問: 子どもが一人でいるとき、私は不安になるか。子どもが人といたがるとき、私は「疲れないの」と言っていないか。
S / N :質問への答え方
N型の子は「なぜ」を大量に聞きます。 「なぜ空は青いの」「なぜ学校に行くの」。S型の親には終わりのない質問攻めに見えますが、この子にとっては構造を掴む作業です。
S型の子は「どうやって」を聞きます。 手順が知りたい。N型の親が「自分で考えてごらん」と返すと、この子は止まります。
点検の質問: 私は子どもの質問に、聞かれた種類で答えているか。理由を聞かれたのに手順を答えていないか、手順を聞かれたのに理由を語っていないか。
T / F :叱り方と褒め方
F型の子には、まず「あなたを嫌いになったわけではない」が必要です。 これがないと、注意の内容は届きません。T型の親は本題から入るので、F型の子は「否定された」だけを記録します。
T型の子には、理由の説明が必要です。 「ダメだからダメ」は通りません。納得しないと従わないのは反抗ではなく、判断の仕方がそうなっているからです。
褒め方も違います。F型の子は「うれしい」「助かった」で伸び、T型の子は「ここが良かった」という具体で伸びる。 T型の子に「すごいね」を連発しても、本人は評価されたと感じません。
点検の質問: 私の叱り方は、相手の受け取り方に合わせているか。それとも自分が納得する形で言っているだけか。
J / P :時間と計画
J型の親は、P型の子の進め方に耐えられません。 夏休みの宿題を最終週にやる子を見て、毎日少しずつやらせようとする。しかしP型の子は、締切が近づかないとエンジンがかからない構造をしています。
強制的に計画表どおりにやらせると、宿題は終わりますが「自分で仕組みを作る経験」が育ちません。
P型の親は逆に、J型の子の不安を軽視します。 「まだ時間あるじゃない」と言われても、J型の子は決まっていないことが不安なのです。
点検の質問: 私が求めているのは「終わること」か「私が安心すること」か。
兄弟でまったく違うとき
同じ育て方をしたのに、まるで違う。これは非常によくあることで、同じ環境でも軸が違えば受け取るものが違うからです。
上の子には効いた励まし方が、下の子には効かない。これは下の子に問題があるのではなく、上の子の軸に最適化された方法を使っているだけです。
兄弟で違うと分かったら、同じ言葉を使わない。公平とは同じ扱いをすることではなく、同じだけ届くように調整することです。
思春期にやってはいけないこと
「あなたって◯◯タイプだよね」と決めつける。
思春期は自己像を作っている最中で、外から与えられた枠は強く効きます。親からのラベルは、本人が「そうでない自分」を選べなくします。
もし子ども自身がMBTIに興味を持って診断を受けた場合は、結果を親が使わないでください。「Pだから片付けられないんだね」は、子どもに免罪符を与えるか、自己否定の材料を与えるかのどちらかにしかなりません。
子ども自身が「自分はここが苦手だから、こういう工夫をする」と言い出したときだけ、それは有効に機能しています。
親自身のケア
子育てで消耗する理由もタイプで違います。
- I型の親: 一人の時間がゼロになることが最大の消耗要因。1日30分でも確保できると回復が変わります
- E型の親: 乳幼児期に大人との会話がなくなることが消耗要因。子どもといても孤独です
- J型の親: 予定が予定どおりに進まないこと自体が負荷。「崩れる前提」で組むと楽になります
- P型の親: 決まった時間に決まったことをやり続ける生活そのものが負荷
詳しくはストレスへの対処に書きました。
親子でタイプが違うときに起きること
子育てでMBTIが役に立つのは、子どものタイプを判定するためではありません。親と子の傾向が違うときに、何が起きているかを説明するためです。
親が計画的で、子が行動優先の場合。 宿題を先に終わらせてほしい親と、やる気が出てから始めたい子。ここで起きているのは怠惰ではなく、着手の仕方の違いです。
親が行動優先で、子が計画的な場合。 急な予定変更が平気な親と、決まっていたことが崩れると強く動揺する子。「そんなことで」と扱うと、子の側は理解されていないと感じます。
親が外向的で、子が内向的な場合。 友達を作ってほしい親と、一人でいることが苦痛ではない子。心配から生まれた働きかけが、子には否定として届きます。
親が具体的で、子が観念的な場合。 現実的な話を求める親と、仮定の話をしたい子。会話が噛み合わず、双方が疲れます。
いずれも、どちらかが悪いわけではありません。傾向が違うだけです。この前提を持てるかどうかで、関わり方が変わります。
子どものタイプを決めつけない
子どもにMBTIを当てはめるときには、大人以上に注意が必要です。
まず、発達の途中です。 傾向は変わります。今の観察結果を固定的な性質として扱うと、後で本人を縛ります。
次に、環境の影響が大きく出ます。 家庭での姿と学校での姿がまったく違う子は珍しくありません。どちらか一方だけを見て判定できません。
そして、親の観察には偏りが入ります。 親が見ているのは家庭での姿だけです。しかも、親が期待している姿を見つけやすくなります。
最も避けたいのは、本人に伝えて固定することです。 「あなたはこういう子だから」と言われると、子はその枠に合わせて振る舞うようになります。可能性を狭めます。
したがって、使い方は「今のこの子はこう見える」という一時的な仮説に留めてください。診断名として扱わないことが重要です。
声のかけ方を変える
同じ内容でも、伝え方を変えると届き方が変わります。子ども相手でも、四つの軸は使えます。
先の見通しを必要とする子には、順序と時間を伝えてください。 「あと5分で出るよ」ではなく「歯を磨いて、靴を履いて、5分後に出るよ」。何がどの順で起きるかが分かると、切り替えが楽になります。
その場で動きたい子には、選択肢を出してください。 「今すぐやりなさい」ではなく「今やる? ご飯のあとにする?」。決定権があると抵抗が減ります。
理由を必要とする子には、目的を先に。 「決まりだから」では動きません。何のためかが分かれば動きます。
気持ちを重視する子には、まず受け止めてください。 正論から入ると、内容が正しくても反発します。
一人の時間が必要な子には、回復の時間を確保してください。 学校から帰ってすぐに今日の出来事を聞かれるのが負担な子がいます。話す気になるまで待つほうが、結果的に多く話します。
兄弟姉妹で違うとき
同じ育て方をしたのに性格が違う、という話はよく聞きます。当然のことです。
同じ関わり方が、違う結果を生みます。 励ましとして届く言葉が、別の子にはプレッシャーになります。
比較が最も避けたい形です。 「お姉ちゃんはできたのに」は、能力の話ではなく傾向の違いであることがほとんどです。しかも、比較されると自己評価が下がります。
きょうだい間の摩擦も、傾向の違いで説明できることがあります。 段取りを決めたい子と、その場で決めたい子。一緒に遊ぶだけで衝突します。
それぞれに合う関わり方を持ってください。 平等とは、同じ扱いをすることではありません。それぞれに合った関わりをすることです。
きょうだいに違いを説明する価値もあります。 「あの子はこういうやり方が楽なんだよ」と伝えると、子ども同士の理解が進むことがあります。
学校生活で見えてくる違い
家庭では見えにくい傾向が、学校生活で表に出ることがあります。
集団への適応の仕方。 大人数の中で回復する子と、消耗する子がいます。休み時間に一人でいることを、問題行動として扱わないでください。
課題への取りかかり方。 早めに終わらせる子と、期限直前に集中する子がいます。後者は計画性がないのではなく、締切が近づかないと着手できない仕組みで動いています。
指示の受け取り方。 具体的な手順を必要とする子と、目的だけ示されれば動ける子がいます。同じ指示が、片方には不足で、片方には過剰になります。
失敗への反応。 原因を分析する子と、感情が先に来る子がいます。後者に原因分析から入ると、責められたと受け取ります。
発表の場面。 その場で答えられる子と、考える時間が必要な子がいます。後者は理解していないのではありません。
進路を考えるときの使い方
進路選択でMBTIを使うときは、範囲を限定してください。
職業を決める道具として使わないでください。 適性の判断材料としては弱すぎます。
環境の条件を考える道具としては使えます。 集団の規模、手順の決まり方、一人で作業する時間の量。こうした条件は、傾向と関係します。
そして、本人が決めることが前提です。 親が診断結果をもとに進路を絞ると、本人の意思が入りません。結果として、合わない選択になります。
選択肢を狭める使い方は避けてください。 「このタイプには向いていない」という判断は、可能性を閉じるだけです。
代わりに、確認すべき点を挙げる使い方をしてください。 「この学校は一人で作業する時間があるか」「この進路は変更が効くか」。条件を確認する材料として使うなら、有益です。
よくある質問
Q. 子どものタイプはいつから分かりますか
発達の途中なので固定的には判定できません。一時的な仮説として扱ってください。
Q. 子どもに診断を受けさせていいですか
結果を本人に固定的に伝えることは避けてください。枠に合わせて振る舞うようになります。
Q. 自分と子どもが正反対です
傾向が違うだけです。理解できないことと、間違っていることは別です。
Q. きょうだいで性格が違います
同じ関わりが違う結果を生むためです。それぞれに合う関わり方を持ってください。
Q. 何度言っても伝わりません
内容ではなく順序が合っていない可能性があります。理由から入るか、結論から入るかを変えてみてください。
Q. 学校での姿と家での姿が違います
環境の影響が大きく出ています。どちらも本人です。
Q. 伝え方をもっと知りたいのですが
→ MBTI別の伝え方 にまとめています。
Q. 自分のタイプを知りたいのですが
→ 40問のタイプ診断 で確認できます。
まとめ
- 子どもをMBTIで分類しない。 発達段階で動き、ラベルは内面化される
- 親が自分のタイプを知り、「自分の当たり前」を点検する道具として使う
- 社交性・計画性・素直さは、いずれもタイプ由来の傾向であって、能力や人格の問題ではない
- 兄弟で違うのは当然。同じ言葉が同じだけ届くとは限らない
